海は汚させないー人毛騒動

《2019.03,漁業と漁協No.649投稿記事》

戦前期沿岸漁民闘争の記録(1)

豊橋で起きた「人(じん)毛(もう)騒動」―昭和9年漁民勝利の意義を考える―

 

 昨年2月、愛知県豊橋市の「春夏秋冬叢書」という出版社から『海は汚させない―人毛騒動』(牧平興治編著)という本が出版された。

サブタイトルに「昭和九年六条潟漁民生活擁護闘争」とあり、同書腰帯には、その「漁民闘争」について「人毛騒動は、昭和八年から九年の一ヶ年間、三河湾沿岸漁民が一致団結し、生活擁護の旗印の下に、あらゆる苦難を乗り越えて戦った郷土の歴史である。」と簡潔に記されている。

 平成も終わりを告げるいま、戦前期、それも昭和一けたの昔に起きた、漁民たちの人毛製造工場設置反対運動のことを考えることの意味などあるのか。そんな読者もおられるかもしれない。しかし、筆者自身がそうだったのだが、明治から大正、昭和戦前期を「近代」という区分けをしてみたとき、これまで記されてきた漁業の歴史の記述は、「近代漁業」の「発達」という基軸のなかで描きすぎてこなかったのか、ということに気づく。

「生活圏擁護」闘争ってなんなんだ

 豊橋市で起きた「人毛騒動」と呼ばれた、市駅前や市庁舎前に1万人という市民をもまきこんだ大反対集会を行った漁民運動について、実は、漁業の歴史を記述した全国レベルを対象に編集された「年表」書籍に、一行も記されていないのだ。もちろん「管見」によればと、ひとことを添えるにしても、本書に記されたことを知れば知るほど、「近代漁業発達史」の下で、頑張って営んできた沿岸漁民たちの生きざまを、われわれ漁業の歴史を勉強してきたものたちは、きちんと捉えてきたのだろうかと、「反省」が心によぎる。

 本書の編著者、牧平興治さんは、地元の漁業組合員であったこともある元教員の郷土史家だが、これまで発行された郷土史資料には確かに書かれてはいるが、すでに自分を含めて地元ですらまったく語られず、忘れ去られた「人毛騒動」の記述に記された「生活圏擁護」のことばにハッと引き付けられたという。

 漁民の運動、それも昭和9年という時代に「生活圏」を護ろうという旗印を掲げた闘いの経過を「もうれつに」知りたくなったのだという。80の歳も近くなった2016年に、「終活」のつもりで郷土史の本を廃棄しようと整理をしていたなかの一冊、小柳清著『人毛騒動記』(1982年自家出版)の冒頭部分に次のように記されていた。

「今より約五十年前、豊橋市によって行われた日本人造羊毛株式会社の工場誘致計画に当たり、その工場排水によって豊川下流にある三河湾沿岸の漁場が大きな被害を受けるということで、工場の建設絶対反対の運動を約一ヶ年間やりました。今でいう公害運動です。

一ヶ年間、三河湾沿岸漁民が一致団結し、生活権擁護の旗印の下に、あらゆる苦難を乗り越えて戦った結果、人毛会社は豊橋の工場建設をやめて、会社の社長、金光庸夫氏の郷里九州大分市に進出を決定したのです。しかしながら、実際には人造羊毛製造には技術的な難点もあり、第二次世界大戦が終わる前に人毛会社は解散してしまいました。」『人毛騒動』小柳清著(1982・昭和57年刊)序文冒頭より

 牧平さんは、猛然と資料探しを始める。豊橋市図書館に所蔵されていた、地元中学校の先生と生徒たちも協力編集してまとめた『人毛騒動記』谷山秋太郎著(1980年)というガリ版刷りの冊子を見つける。

冒頭に編者名で次のように記されていた。

「牟呂の人びとにとって人毛は触れたくない事件の一つである。…中略…賛成・反対に別れはしたが、どの人もすべて、それぞれの立場から最上と思う道を選んでいた。方や産業都市豊橋発展の視野に立ち、片や生活圏擁護・自然破壊阻止の立場に立って、問題から安易に逃げることなく、まともにぶつかり合ったのである。」(豊橋市立牟呂中学校教諭・金仙宗哲、『人毛騒動記』1980年・昭和55年刊)

 牧平さんは、この2冊を読み進め、関係者を訪ね、資料を集める中で、なぜこの事件が、皆口を閉ざし、記述がこの2冊として残されるまでに50年近くもかかったのかがわかってきた。

地域で二分する戦いが繰り広げられただけでなく、運動としての勝利に終わって良かったというようなことではなく、運動終結とはならなかったのである。闘争勝利者が、闘争に反対した者たちに対する「共同体」としての地域的な制裁、反対側もその制裁措置に対して裁判で挑むという「地域内」問題が長い間続いた歴史を知ることになる。

 しかし、やはり、漁村婦人たちの市民への呼びかけ、呼応した市民婦人たちの運動協力など、現代にも通じるこの運動の経過を、この2冊の本をもとに、わかりやすい文体に編集しなおして世に知らせよう、と決意する。そして、それが、冒頭紹介した『海は汚させない』である。 ぜひ興味のある方は読んでほしい。牧平さんは、本を出して3か月後、持病が悪化し亡くなられてしまった。

人毛騒動の評価を考える

牧平さんは、本として出版すべく、原稿をまとめ、愛知県下の大学の先生(経済、水産)数名に、人毛騒動を現代の人びとに読んでもらえるだけの価値があるかどうか、を聴いて回ったところ、誰もが「わからない」という「消極的」な反応だったという。

牧平さんの知り合いであった東京在住の大崎正治(國學院大學名誉教授)さんにも原稿が送られてきた。その原稿が、筆者の友人、尾上一明(浦安市郷土博物館学芸員)さんを通じて「戦前の豊橋での漁民運動の面白い資料」があるので、読んで感想を牧平さんに伝えてほしいと、筆者の手元に届いたのが3年前だった。

『海は汚させない』の原稿を読み進めていくと、これはすごい資料がでてきたものだとびっくりした。牧平さんに感想を書かなければと、中身をきちんと読みはじめる。

漁民運動史上の位置づけをチェックしてみようと、手元にある『日本漁民闘争史年表』石田好数・漁民研究会・公開自主講座実行委員会共編著(1972年)と、環境社会学者・飯島伸子さんの公害史関連著作を引っ張り出し、該当年次の記述に目を通してみた。

さらにびっくりした。飯島伸子編著『公害・労災・職業病年表』(1977年初版、1979年改訂版)にきちんと整理して載せている。それも、漁民運動としても完全「勝利」を成し遂げた闘いの記録として、「漁民の生活権擁護の長い闘いに勝利」「漁業者のリーダーに旧労農党員あり」「三河湾沿岸漁民の妻一同より、市内の主婦あて」の反対嘆願書を紹介するなど、漁民運動であるとともに「住民運動」として、編著者としての評価を与えていた。

次に『漁民闘争史年表』を見たが、「人毛騒動」に関する記述はなかった。その代り、戦前期の漁民闘争の特徴として、あとがき「基本視点」に次のように記されていた。

「農民運動と異なり、無産運動との関係はほとんどみることができないが、僅かの例外としてあげうるのは、先にもあげた、昭和四年、高知の底曳網反対闘争のみであった。これは新しい社会運動としての萌芽であったが全国化する可能性はなかったといえよう。ファシズム体制の形成とともに、漁民は漁業組合運動(販売事業中心)へと吸引され、体制内化されていくのである。漁業組合によって、前期的商人資本との対抗のために、漁村のボスを中心とした経済運動が展開される。農村の小作争議を指導した農民組合運動に対比できるものは、ついに漁村では成立せず、全漁連が、昭和十六年に成立したことにあらわされるように、翼賛体制の一環に組み込まれてはじめて、曲りなりの全国組織が誕生するという状況だった、……後略」

この人毛騒動のあった昭和ひとけたの時代は、日本の近代化の流れの中で栃木県足尾鉱毒(古川)、愛媛県別子・四阪島鉱毒(住友)、茨城県日立煙害、秋田県小坂鉱山煙害の、いわゆる四大鉱毒事件、そして、水俣病水銀汚染にいたる日本窒素肥料の水質汚濁、岐阜県荒田川汚濁のほか、東京湾における浅野セメント水質汚濁など鉱毒事件から製紙・繊維・染色・セメントなど加害源による汚染の影響が、川、海、水、大気へと多様化していく時期とも重なっている。

飯島伸子「年表」と並行して発表された「日本公害史研究ノート」(1974-75、岩波書店『公害研究』)のなかで、公害被害者の抵抗の歴史を考えるときの公害史を、大きく5区分に分けている。

  • 明治時代以前(江戸時代)
  • 明治時代から第一次世界大戦まで
  • 第1次世界大戦時から第2次世界大戦終了まで
  • 2次大戦後から1950年代
  • 1960年代以後現在まで

 

  1.  

人毛騒動は、飯島区分では第3期にあたる。飯島は、加害源企業の被害者に対する対応について、この第3期の特徴を「日本公害史研究ノート(3)」(1974年『公害研究』vol.4No.1)の中で次のように指摘している。

「加害源企業の対応は、この時代を通して、大体において強硬であったといえよう。中でも、前時代の小規模工業や中規模工業がこの時代には大規模化しており、それらの企業において、前時代とはちがう非常な強硬さがみられるようになったことが目立つ。また、この時代になって新設された企業の場合にも、公害の被害者の抗議を無視する対応が多い。」という傾向を指摘しながら、「被害住民の行動について言えば、被害に対する「お願い」する弱い姿勢のものから、激しい反対運動で加害源企業の操業を停止するまで種々の段階にわたっているし、少数例ではあるが、被害住民の公害反対運動に加害源企業の労働者が参加するケースがでるなど、運動体の構成に画期的な変化の芽が現われたりしている。」

そして、続けて

「公害が起きてから反対するのでなく、起こしそうな企業などの進出に反対する運動が出てきたのも新しい動きである」

と書いている。

鋭い分析だ。この「人毛騒動」における反対漁民の組織的な結束力、行動力、そして、漁民外の新田所有者や市民、女性に対する運動の支援を要請して拡大していくながれは、『人毛騒動』著者・小柳清も「大衆運動」と、自己評価をしている。全国的に、この時の運動は、もっと知ってもらうようにすべきであると、前記大崎先生、尾上さんらと、情報交換会をしながら、牧平著『海を汚させない』発行の応援をしていくことになった。(つづく)

次回以降は、漁民運動を陰で支えた加藤禮吉のこと、琵琶湖関連水域に立地していた「旭ベンベルグ」「東洋レーヨン」が引き起こした「瀬田川魚類斃死事件」との関連、漁民運動として水質保全法制定を農林省水産局に要望する行動、この運動をはじめとする全国で頻発した水質汚濁(当時は「水質汚瀆」と表記)問題への対処として関係省部局ですすめられてきた「水質保全法制定」の動きについてを記す。

◎牧平興治著『海を汚させない』定価:本体1200円。発行所:春夏秋冬叢書 〒441-8011 豊橋市菰口町1-43。電話:0532-33-0086

 

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有明海漁民・市民ネットワーク:2012年度総会のお知らせ

「有明海漁民・市民ネットワーク:2012年度第11回総会のお知らせ」の連絡が届きました。以下本文全文です。

本文:諌早湾閉め切りから15年が経ちましたが、有明海の漁業環境は年々悪化しており、昨年から今年にかけてもノリの不作や魚介類の不漁が大きなニュースとなりました。一方で開門判決確定から1年半が経過したにもかかわらず、開門調査の準備は遅々として進んでいません。

総会では、政府に常時開門を確実に実行させるために、今後の漁民ネットとしての取り組みを話し合いたいと思います。みなさまのご参加をよろしくお願いいたします。

【日時】2012年6月2日(土)14時~17時(開場13時30分)

【場所】大牟田文化会館:3階第一研修室:福岡県大牟田市不知火町2-10-2:TELO944-55-3131

【お問い合わせ】TELO90-8462-4211(吉川)

なお、東京事務局は以下の通り。

東京事務局:〒171-0032 東京都豊島区雑司ヶ谷3-11-4-205SYスタジオ内:電話:070-5074-5985

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上関、瀬戸内海の豊かさが残る最後の場所:三学会合同シンポ

上関、瀬戸内海の豊かさが残る最後の場所:三学会合同シンポに参加してきました

  日: 2010314日(日)午後130分~430
会  場: 明治大学駿河台校舎リバティホール
(リバティタワー 1F 松井康成ホール)

参加費: 500円(資料代)

【主 催】
日本生態学会 自然保護専門委員会
日本鳥学会 鳥類保護委員会
日本ベントス学会 自然環境保全委員会(ベントスは底生生物)

3/14
三学会合同シンポジウム実行委員長: 倉本宣(明治大学農学部教授)

【後 援】
(
)日本自然保護協会、()世界自然保護基金(WWF)ジャパン、
(
)日本野鳥の会、NPO法人ラムサール・ネットワーク日本、
バードライフ・インターナショナル、日本魚類学会自然保護委員会

【事務局、問い合わせ先】
日本生態学会上関原子力発電所問題要望書アフターケア委員会
代表:安渓遊地(Tel: 083-928-5496e-mail: ankeiyuji@gmail.com
庶務:佐藤正典(Tel: 099-285-8169e-mail: sato@sci.kagoshima-u.ac.jp

【プログラム】
13:30:
開会
13:30:-13:35

(主催者挨拶)立川賢一(日本生態学会自然保護専門委員会委員長)
13:35-13:50
:はじめに(シンポジウム全体の趣旨説明)
「上関原子力発電所建設計画のあらまし」佐藤正典(鹿児島大学)
13:50-14:35
:講演1「周防灘に残されている瀬戸内海の原風景」
加藤真(京都大学)
14:35-15:05
:講演2「上関に生息する希少な鳥類について」
飯田知彦(九州大学大学院・日本生態学会)
15:05-15:35
3学会の要望書の説明
安渓遊地(日本生態学会上関問題要望書アフターケア委員会委員長)
佐藤重穂(日本鳥学会鳥類保護委員会副委員長)
逸見泰久(日本ベントス学会自然環境保全委員会委員長)
15:35-15:45
:コメント1「陸上生物、里山の観点から」
野間直彦(滋賀県立大学)
15:45-15:55
:コメント2「スナメリについて」粕谷俊雄(要請中)
15:55-16:10
:コメント3「生物多様性条約に基づく国の政策」
国会議員(参加要請中)
16:10-16:40
:質疑応答
16:40-16:45

(閉会挨拶) 風呂田利夫(日本ベントス学会会長)

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漁業権・入会権・里海関連英語表記について

必要にせまられて、漁業法・漁業権、入会権、里海関連の英語表記を整理してみました。メモとして記しておきます。

このほうが適切というご意見があれば、コメントにぜひ書き込んでいただければうれしく思います。

出典……(1)The Fisyeries Law,The Overseas Fisheries Cooperation Foundation,1993/(2)M.A. McKean, "Management of Traditional Common Lands (iraichi) in Japan", in Proceedings of the Conference on Common Property Resource Management (1989), pp. 533-589 (A revised and updated version appears in Making the Commons Work, 63-98.) .*Making the Commons Work: Theory, Practice, and Policy, edited by Daniel Bromley, David Feeny, Margaret A. McKean, Pauline Peters, Jere Gilles, Ronald Oakerson, C. Ford Range, and James Thomson (1992), San Francisco: Institute of
Contemporary Studies .

漁業法(ぎょぎょうほう):The Fisheries Law:Law No.267 of 1949:(1)

漁業権(ぎょぎょうけん):fishing right:(1)

  定置漁業権(ていちぎょぎょうけん):set-net fishing right

  区画漁業権(くかくぎょぎょうけん):demarcated fishing right

  共同漁業権(きょうどうぎょぎょうけん):common fishing right

  入漁権(にゅうぎょけん):common-of-piscary right

入会権(いりあいけん):common right:(2)

  入会(いりあい):common

  入会地(いりあいち):common land

以降補足していきます。

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東京湾の社会学講座で講師してきました

東京湾と人の関わりの歴史(江戸前の海と食文化、海の道)

12月5日、江東区森下文化センターが主宰する平成21年度下期講座「東京湾の社会学」の講師を依頼され、「東京湾と人の関わりの歴史(江戸前の海と食文化、海の道)」というタイトルで話しをしてきました。

「東京湾を様々な角度から学びます。環境・歴史・働く人々そして、身近な自然から世界的に珍しい生物まで網羅いたします。私たちの生活圏にありながら、知っているようで実は知らない東京湾の魅力に迫ります。」という企画で、

(1)11/7:東京湾の環境(江東区近辺の海の状況)……NPO法人 水辺と生物環境保全推進機構
(2)11/14:浜離宮恩賜公園の水質・生物(現地講義)……NPO法人 水辺と生物環境保全推進機構
(3)12/5:東京湾と人の関わりの歴史(江戸前の海と食文化、海の道)……まな出版企画・中島満
(4)12/19:三番瀬の海苔養殖について(市川・現役漁師に話を聞く)……福田海苔店 福田武司
(5)1/30:東京湾の珍しい生物(東京海底谷の生物たち)……千葉県立中央博物館 宮正樹
(6)2/6:交通の要衝としての東京湾(水先人に話を聞く)……日本水先人連合会
(7)2/27:東京湾の干潟(三番瀬を中心に)……NPO法人 三番瀬市民活動センター
(8)3/13:海草押し葉体験……NPO法人 水辺と生物環境保全推進機構
(9)3/20:※三番瀬生き物散策(現地講義)……NPO法人 三番瀬市民活動センター

という内容です。

中島が担当した「東京湾と人の関わりの歴史(江戸前の海と食文化、海の道)」のプレゼデータは、

その(1)東京湾の歴史と漁業の総括編:http://www.manabook.jp/tokyowan-sociology091205-01.files/frame.htm

その(2)江戸前の味探検自分の足で歩こう実践編:http://www.manabook.jp/tokyowan-sociology091205-02.files/frame.htm

その(3)鎌倉街道海の道と木更津の不思議な道をたずねる:http://www.manabook.jp/tokyowan-sociology091205-03.files/frame.htm

に載せておきました。

当日配布したプリントは、次のようなものでファイルを載せておきますので関心のある方はご覧ください。

配布資料(1)話題の内容と略年表レジュメ:「resume00.pdf」をダウンロード

配布資料(2)小杉鶴吉アナゴ漁とアナゴ筒について:「resume01.pdf」をダウンロード

配布資料(3)打瀬舟の復元・金萬智男さんの五大力船プロジェクト・お台場で江戸前海苔を作ろうの小学生たちの挑戦:「resume02.pdf」をダウンロード

配布資料(4)味探検マップ:「resume03.pdf」をダウンロード

配布資料(5)現代の海の道「東京湾フェリーとアクアライン」:「resume04.pdf」をダウンロード

 

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国際漁業研究会2009年シンポジウムに参加してきました

2009年度国際漁業研究会シンポジウムの内容

テーマ:これからの日本の漁業を考える

日  時:2009年11月14日(土)13:30-17:00
場  所:大日本水産会大会議室(三会堂ビル8階)
趣  旨:日本の漁業を取り巻く国際環境は制度面でも経済面でも環境面でも大きく変化している。一方、漁村は少子高齢化・過疎化に、漁船漁業は燃油高騰・後継者難に直面し、起死回生を迫られている。多面的機能が期待される漁業を中心とした「海の時代」の理想と現実の差はあまりに大きい。しかしながら、海の利用に対する日本の比較優位性は世界的な特徴でもあり、日本には、今、この特
徴を活かしきれるかどうかが問われている。そこで、漁業と深く係わる「資源」、「流通」、「漁業制度」、「環境問題」、「政策」、「消費」の専門家と「沿岸漁業」および「遠洋漁業」など漁業自身のこれからのあり方を考えている専門家を一同に会し、これからの日本の漁業を再考したい。

13:30-15:30 シンポジウム:これからの日本の漁業を考える

座  長  国際漁業研究会会長 松田 惠明・副会長 岡本 勝 
話題提供1「資源管理を巡る環境思想・法的概念の変遷」
   東北大学名誉教授 川崎 健氏
話題提供2「築地市場の魚価と取引の現状」
   時事通信社編集局水産部次長 川本 大吾氏
話題提供3「うつりゆくこそ里の海なれ―沿岸漁業と里海を考えるスタンス」 フリーライター・まな出版企画 中島 満氏
話題提供4「激化する国際資源獲得競争と日本型・遠洋漁業の限界
         -まぐろ漁業の視点からー」
   責任あるマグロ漁業推進機構専務理事 原田 雄一郎氏
話題提供5「マリン・エコラベル・ジャパン 前向きに持続的漁業を推進します」
   マリン・エコラベル・ジャパン事務局 
   大日本水産会事業部国際課長 西村 雅志氏
  話題提供6「漁業衰退要因の総点検と水産日本再生のシナリオ」
   マリン・インパクト21 理事長 小網 汪世氏
話題提供7「魚食普及でもグルメでもなく“海のくに・日本”の意義を伝えることが第一」
   ウーマンス・フォー-ラム魚代表 白石 ユリ子女史

15:30-15:45 休憩
15:45-17:00 総合討論 これからの日本の漁業を考える
17:00 閉会の辞

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資料:大正期の漁業用天然氷の利用

天然氷の利用(小山亀蔵「和船の海」より)

 大正の初期になると、かづ船(鰹漁船)もだんだん大きくなって、漁場も沖に出るようになりましたが、鮮度を保つ方怯がなく、一日か二日しか沖に居ませんでした。そのうち、三重県ぶねや静岡船が魚群を追って回って(回航して)来るようになり、しかもこれらの船は「いわし」を沢山持って三日も四日も沖におり、釣った魚に氷をかけて来ては、いい値段で取引するのでした。

 これを見た当地の船主達は早速船に氷を積ませることに奔走し、初めは寒中に堤に張った氷を切取ったものを買入れ、氷倉を建ててかくまい(蔵って)しておく工夫をしました。製板(製材所)の挽っ屑(ひっくず。おがくず)を厚く敷きその上に荷馬車で運んで来た一個十四、五貫の角氷を重ね、また挽っくずを掛けては氷を重ねるという工合に並べ、かづ船どきになるとこれを取出して船に積みました。船ではこれを玄能で打砕いて使ったのですが、初めにはこの挽っ屑をろくに取らないで使用したため、瓶(魚槍)に入れたかつおが擦れ、、肉が良くとも「ぎんめえ(銀前)。かつおの肌」が悪くなり、それに増し氷もしないためうまくゆきませんでした。

 だんだんとこれに気がつき、積む時は水で洗い落し、沖では増し氷を一日に一回も二回もやるように工夫を重ねたものでじた。

 気仙沼に氷がなく、天然氷を積むため宮古では津軽石という所から運んで来たと聞かされたもので、各船とも必ず氷を積むようになりました。

 角氷のうちは左右の瓶に入れ、揺れても動かないように「きめ」をかったりしましたが、二、三年後には天然氷を砕き、砕氷で大量に積み、かつおを入れた瓶の中の温度を計っては増し氷するなど改良されました。温度計の利用や鮮度を保つ方法は昭和の初め、かご屋(屋号、前出)が焼津方面から買入れた福久丸(二十噸、四十馬力)の附属品から教えられたものでもありました。

 やがて、今の七十七銀行のあたりに(南町三丁目一番一号)気仙製氷会社が建てられ、人造氷を仕込むようになり、天然氷はみられなくなっていったのであります。

 長い航海が出来るようになると船の形も変り、帆は補助的なものになり、寝る場所もまた今のように室の形を整えるようになりました。菅留(菅野留太郎氏)が五十噸ほどの于年丸を建造、角十(畠山泰蔵)が九十噸ほどの精良丸を、山三(斎藤福三郎氏)は不動丸を、そして宮井繁太郎氏、木田豊吉氏、村上米蔵氏(以上気仙沼)と唐桑、気仙沼の船主は次々に大型船を建造するようになったものでした。特に畠山泰蔵氏は昭和十一年の秋、徳島の阿波から船頭を頼んで、いまの南洋縄の当地における先駆者となったことを付加えておきます。
(「和船の海」昭和48 年。小山亀蔵著。伊藤富雄、唐桑民友新聞社発行。)

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「MANAしんぶん」サイト復旧しています

MANAしんぶん:http://www.manabook.jp 復旧しました

おわび:10日ほどぼくのメーンサイト『MANAしんぶん』http://www.manabook.jpが破談状態にありましたが、10月17日よりお名前ドットコムのドメイン更新手続きが完了し、復旧しました。MANAへのご心配いただき多くのメールをいただきました。ご心配をおかけし、MANAサイトを通じてホームページサイトを開いている方や、常連アクセスをいただいている方々におわび申し上げます。このドメインもけっこう浸透しているのがまた確認でき、「うっかり」もできないことに気づきました。

今後とも、内容充実に努めますので、よろしくご後援のほどお願いします。

MANA:なかじまみつる

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MANAしんぶん サイト一時閉鎖中のおしらせ

みなさまへのおわび

MANAのうっかりミスのため「MANAしんぶん」サイト、http://www.manabook.jpのドメイン更新手続きを忘れておりました。現在復旧手続き中ですので、1週間ほどおまちください。

MANA:中島 満

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江戸前の海―埋め立て前の現古「東京湾」の藻場干潟の姿を探ろう

埋め立て前の現古「東京湾」の藻場干潟の姿を探ろう

江戸前の海はこんなにも豊かな漁場だった!!

「東京湾漁場図」を読み解き、東京湾のいまを考える勉強会を開催します―ぜひご参加ください

MANAも参加して、かねてより画策してきた〔「東京湾漁場図」を読み解き、東京湾のいまを考える勉強会〕を9月6日の日曜日に東京海洋大学で開催することになりました。講師には、「江戸の釣り」や「江戸釣魚大全」の著者で、科学ジャーナリスト・釣魚史研究家の長辻象平さんをはじめ、東京湾岸をフィールドに研究を続けてきた民俗学や考古学、そして現在藻場干潟の再生活動を続けてこられたかたがたにコメンテーターとして加わってもらって、残暑の午後半日の暑いトークショーになるはずです。

『「里海」って何だろう?』を考える重要なテーマがこの勉強会には含んでいます。

呼びかけ人の名前一覧を含んだ申込書付きのお知らせ文は

「Announce_090906_final4.pdf」をダウンロード

からお読みください。

また「東京湾漁場図」については、MANAの里海ブログ「泉水宗助「東京湾漁場図」ついにWEB公開」

http://satoumi.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post-3371.html

をご覧ください。

====
「東京湾漁業図を読み解き、東京湾のいまを考える会」ご案内
主催:「東京湾漁場図」を読み解き、東京湾のいまを考える会
共催:東京海洋大学江戸前ESD協議会
 東京湾の環境をよくするために行動する会(略称:東京湾をよくする会)
開催期日と時刻:2009年9月6日(日曜日)午後1時~5時(開場11時30分)
会場:東京海洋大学(品川キャンパス)大講義室(200名程度の収容が可能)
   交通手段:http://www.kaiyodai.ac.jp/info/access/access.htmlを参照してください。
予定プログラム:
○ 開会(13:00) 開会挨拶:林しん治(呼びかけ人代表)
○ 講演(13:15~15: 00)
① 東京湾漁場図に含まれた情報を読む―漁場図の成立と桜田勝徳:
  尾上一明氏(浦安市教育委員会)
② 江戸の釣り書「何羨録」を読む―江戸前の海はどんな姿だったのだろう:
  長辻象平氏(「江戸の釣り」著者・産経新聞社論説委員)
③ 明治期に記録された東京湾の魚介類相―農商務省水産局「東京湾漁場調査報告」と「漁場図」に描かれている現代へのメッセージ:西野雅人氏(魚類考古学研究・千葉県文化財センター)
○ 東京湾をどうする現場からのメッセージ(15:15~15:45)(10名ほど)
○ 総合討論:(15:45~16:50):質疑応答・意見のとりまとめ。
○ 閉会挨拶(16:50~17:00):河野博(東京海洋大学江戸前ESD協議会代表)
費用負担等:東京湾漁場図原図縮小複写及びその解説など資料代(1000円)を徴収予定。
事務局:中島満(Fax:03-3319-3137、E-mail:CBA02310@nifty.com

なお、「お知らせ文」には、もりこめなかったのですが、当日の開場の展示スペースには、

【企画展示】

①東京湾漁場図・何羨録など東京湾と漁業や釣り関連の原図・複写資料。

②現在までに発行・公開された東京湾関係の書籍・報告書・パンフなど資料。

③フリー展示コーナー(「あなたの足元にある・あった東京湾の姿をデジカメで撮影してコメントを添えて貼り付けてください。写真でなくても資料や昔の姿を写した画像や映像でもけっこうです」―東京湾に現存する藻場干潟のようすを、自然海岸・人口海岸・コンクリート護岸にかかわらず何でも知らせてください)

という内容の展示を、会場のスペースのゆるす限りしてみたいと思っています。

また漁場図入りチラシ(PDF版)も、準備中です。完成しましたら、送ります。

ぜひ、皆様のご協力をいただきながら、勉強会が盛り上がりを見せるような進行をしていきたいと思います。

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まな出版企画(MANAしんぶん)
中島 満
〒165-0025 東京都中野区沼袋1-5-4
℡:03-3319-3127 Fax:03-3319-3137
Mail:CBA02310@nifty.com
URL:http://www.manabook.jp
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