味探検:焼津市:ミルクガニ「長兼丸」
駿河湾の海底からの贈り物“ミルクガニ”を味わう。これはうまいカニだ!
市場には流通しないが、漁船からの直売で味わえる“うまい”カニがあると聞き、焼津市小川港を訪ねた。このカニは、通称「ミルクガニ」と呼ばれ、エゾイバラガニの和名を持つタラバガニの仲間。駿河湾中央部の水深700m以上の深海冷水域に生息する。金網かごに餌を入れ漁獲する漁法のため、漁獲が限られ、焼津市小川漁協所属「長兼丸」(ちょうかねまる)船主・長谷川久志さん(写真。右は一緒に漁に出る奥さんの順子さん)一人が実質漁獲しているだけだ。
「自分で船を持つようになってからは、未知の漁場や誰も取らないサカナの漁獲に挑戦し続けてきた」というパイオニア精神旺盛の長谷川さんが、深海漁場を操業中に、このカニ資源を見つけたのが30年前のこと。
「初めは、食べてこんなにおいしいのに、雑ガニ扱いで市場ではまったく値がつかず、女房と二人で行商して売り歩きました」と話す。
カニのミソ・内臓が含まれる頭(面)は味がよくないので、この部分は取り外し、8本の足 と足の付け根の部位に詰まった身肉を食す。甘味があり、北方系のカニに比して劣らない味と、価格の安さが口コミで広がり評判となる。活きている獲れたてのミルクガニの直販に、今では、土日入港する11時頃には、岸壁で客が待つほどの人気ぶり。
カニのサイズと価格は、小型の750g以下が1匹500円。数も多く人気サイズの850~940gが同1000円(写真)。1キロ以上の大型2000円まで5ランクある。
宅配送(代引き)でも購入可。蒸すのが標準の食べ方だ が、長谷川さんおすすめの“13秒”湯につけ、刺し身状をワサビしょう油で食べるシャブシャブがこたえられないうまさだ。
PS:ヌタウナギってなんだ?
(中島満:MANA)
○「長兼丸(ちょうかねまる)」
JR東海道線焼津駅下車。直売は、静岡県焼津市小川港旧港岸壁の同船接岸場所。「カニ」赤旗目印。販売は毎週土・日の午前11時頃から売切れまで。天候により出漁不可日あり問い合わせ・予約注文が無難。電話054-624-6605(自宅)。地方発送可(支払い代引き・限定量のため着荷に7~10日ほどかかる場合あり。
注:内容は取材時のものです。現時点で価格等変更がある場合があることをご了承下さい。取材掲載:東京新聞2004年12月16日「味探検」連載404回。写真記事:copyright 2007,Mitsuru,Nakajima:リンクは自由ですが、記事写真引用は管理人(MANA)までご一報下さい。
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