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いま、なぜローカルルールなのか(1)

コモンズ研究会メーリングリストへの投稿

2006年6月21日[commons:01363] 「ローカルルールの研究」出版しました(コモンズ研究会

コモンズ研の皆様
○MLでも案内がありました5月19日東京早稲田での「いりあい、よりあい、まなびあい」勉強会で、「いまなぜローカルルールなのか」を報告する機会をつくっていただきました中島です。
○その報告の内容を含む『ローカルルールの研究―海の「守り人」論Part2―ダイビングスポット裁判検証から』が、出版されましたのでご案内方々メールいたしました。
○室田先生から、「海の入会は複雑だから」ということで、参考書として紹介(ありがとうございました、うれしかったです)していただきました「海の『守り人』論」(浜本幸生監修著・対談)の共著者にして、この本を制作した編集者でもありまして、今回の本は、サブタイトルで、『海の「守り人」論』パート2という位置づけを持つ内容になっています。なぜパート2かについて、

http://www.manabook.jp/localrule-saiban.htm

をご覧いただくと、内容及び目次を入れておきましたので興味のある方はご覧いただければと思います。勉強会のときお配りしたパワーポイント資料も、そこから見ることができます。
○中島は、制作者でもあるため、PRさせていただくことをご了承いただくとして、もし本書に関心があり、読みたいというかたがいれば、「コモンズ研のML参加者」をひとこと明記した注文メールを後述する私のサインにある個人メール宛にいただければ、定価(税込み5250円)の1割引価格(送料サービス)にて送付いたします(割引サービス期限はおおよそ7月末ぐらいまで)。
○「ローカルルール」ということばは、勉強会でもどなたかがおっしゃられましたが、マージャンやカードやゴルフの「個別・限定ルール」のような時に良く使われる言葉ですが、地方分権を推進するに当たっての条例や地域協定を旧来よりもさらに地方の自治性を高めた役割を与える時に、使われるようになってきたことが、新聞報道等でぼちぼち知られるようになってきました。
○昨年5月に、地域社会学会年報17集のタイトルは「〈ローカル〉の再審」で、「まちづくりとローカルガバナンス」のテーマや、「国家統治システムの再編と自治・分権」が論じられ、私も、なるほど現代とは、「ローカル」や「ガバナンス」を論じる時代なんだと、とても勉強になりました。
○近代以降の漁業権の成立史をずっと追いかけてきて、現代の地先海面の利用のシステムを考える時、これまででしたら、こうした成立の背景をもつ「漁業権」の性格を論じることによって、あるいは、漁業権を、管理や利用のシステムのどこにおくか、(誤解を恐れずにいえば、漁業権はじゃまだからより弱める権利として解釈しようとするひともいれば、漁業権を忘れてもらっちゃあこまる、財産権としての漁業権の性格そんじょそこらの社会経済の変化があったって少したりとも変わるもんじゃあないという人もいれば、……)は、いつも議論になって、そのつど、論争が起きたりするわけです。
○ところが、私も、そうした論争になるときには、後者の論で、真っ赤になって論争をしたりもしてきたのですが、じつは、もうすこし違う性格も備わっているんじゃないかと、かねがね思っていたのです。
○それが、静岡県沼津市の全国でも有名なダイビングエリアの大瀬崎で、ある一人のダイバーが、その地区が自主的につくった協定に基づき一人1回潜水するときに340円を地元漁協に支払う、という決まりごとに、異を唱えて、「どこにそんな決まりがあるんだい」「340円を漁協に支払う根拠なんてないんだから、法的根拠がないことを知って、ダイバーから金員を徴収したんだから、そりゃー詐欺だ、是まで支払ってきた潜水料の合計金を返してほしい」と裁判所に訴えたのですね。
○この潜水利用料の根拠をめぐって、あしかけ10年余り、地裁(静岡沼津支部=第一審)、東京高裁(第二審)、最高裁(上告審)まできて、最高裁は、東京高裁に潜水料の支払い関係についての合意の有無について審理不尽につき東京高裁に差し戻しを命じ、差しもどされた東京高裁(第四回目の審理)では、結局、漁協側が勝訴の判決(つまり、潜水利用料の法的根拠は漁業法の漁業権にあることを認定)をしたのですね。
○このことについて、私は、ずっと、裁判の審理経過を裁判所でみて、関係者に取材をして、考えてきたんですけれど、結論は「漁業権」の法律的性格の解釈ということによってだけでは、どうしても、340円の意味が規定できない、ということに考えいたるわけです。
○これが、漁業権だけでもなく、海の『守り人』論で展開した「海の入会権」としての「地先権」とのかかわりだけでもまだ規定するのに十分でもないのです。そして、地域社会を構成する、漁協(じつは、当事組合である内浦漁協が所在する地区と、大瀬崎地区とは、沼津市の漁村地域のなかでは、遠く離れて存在している=つまり、漁業権の権利主体である関係地区がまったく異なるところがまた面白いのですが)、沿海部の山林や神社と入会所有関係を持つ複数の入会集団に、地区漁民集団である漁村区、民宿組合に、ダイビングショップ組合に、地域自治会、それぞれの利害の衝突と合意の経過から生まれた340円の料金徴収のルールを市民も受け入れざるを得ないシステムを支えるのは、旧慣、実定法規、慣習、新たに形成される協定等が相互補完しあいながら安定した地域社会の規範を形成するといういみでの「ローカルルール」という位置づけが浮かび上がってきたのです。
○これが大瀬崎地区という地区限定のシステムだけしか機能しないものなのか、もっと多様な地域に広げた汎用性のある概念であるのかのテーマが、今後残されていますので、その意味で、中島が、「あとがき」で、海面利用について「漁業的利用」⇔「入会的利用」⇔「市民的利用」の三つに分類して、漁業権制度に基づく海面利用の仕組みを、従来どおりの概念規定で整理できる場合、もはや整理ができなっている場合などにわけて、少しでも理解度を高めてもらえればと説明を加えています。漁業補償済み海面のいわゆる「オープンアクセス」になってしまった海面では、現実にどんな事が起こるのか、その具体的事例を「正」「負」にみたてた事例報告もあります。
○まあ、こんな本です。長々と失礼しました。もし良かったら読んでみてください。そしてご批判をしていただければとてもうれしい。(MANA:なかじまみつる)

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