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「ローカルルール」と「海の守り人」の英語表記について

「ローカルルール」の英訳(英語表記)について

 MANAの漁業権について情報を交換をしている沖縄大学のU先生より、ある日、浜本幸生編著「海の『守り人』論」を英語で表記する場合の訳語はあるのかという問い合わせを受けた。ぼくが、本の編集をするために「もりびと」MORIBITOの言葉にたどり着くまでには200ぐらいのコピーをメモがきしてみて一番しっくりしていたのが、海を生計の糧をうる場に働く海沿いに住む人々であって、漁村、漁協の構成員である人のことを、“漁業権”という権利を保持し、海を自主的に管理・利用してきた長い歴史を背景とした、「海を守る人」=海の「守り人」MORIBITOということばだった。

 当初は、拙い英語の知識を辞書をひっくり返しながら、management、control、administrationやprotectあるいはkeepなどの経営・取締り・管理と「守る」という言葉をひろっていたのだが、ヨーロッパの荘園や城の管理を任せられた人のことを“servant”ということを書いた辞書があり、イメージとしてはサーバントを想定して、守り人という言葉にしようと、きめたような気がする。

 ただ、まったくの当て字の感覚であり、サーバントが、盲目的な官吏や、奴隷を意味する言葉であり、keeperもprotectorもあまりに直訳過ぎていることもあって、ズバリふさわしい言葉とはおもっていなかった。

 調度良い機会であったので、友人で、中近世ヨーロッパの経済史や文化史に詳しく、日本の漁業権制度についても研究をしている、ボン大学の日本文化研究所研究員で日本民族学博物館で日本文化史と漁村社会研究を続けていたヨハネス・ハルミ・ウィルヘルムさん(現・秋田大学講師)に次の質問をして、適切な訳語を聞いてみることにした。

《「海の『守り人』」を英語でどのように翻訳するのが良いでしょうか。知り合いの先生は、「Keeper of The Sea」ではどうか、ということでしたが、ヨハネスさんならどうなるでしょうか。ちなみに、僕が、「UMI―NO―MORIBITO」をイメージしたのは、「漁業権をもち、漁業・漁猟という職業を生業としながら、漁村というコミュニティーの一構成員として、地域共同体である漁村の地先の海の資源や海岸を、国民との信頼関係をベースにして、管理している人」というようなことから考えたものです。簡単にいえば、「国民の共有財産である海の資源を維持管理できる立場にある海沿いのムラに住む人々」とでもいうのでしょうか。いい知恵を授けてください。》

と聞きましたら、次のような返事をもらいました。

《さて、守人ですが、簡単にprotectorが適当だと思います。応用しますとMarineProtector(海の守人)やMarine Protector Theory(海の守人論)になります。
他にprotector of the seaも考えられると思います。》

なるほど、なるほど。上記のウイルヘルムさんの返事を、小生の回答として、U先生に返事を差し上げたのでした。

               

 ところが、その後「ローカルルールの研究―海の『守り人』論2」(2006年)の書名英語表記についても教えてもらいましたら、上記の「Protector」というより「Stewardship」が適切であると修正することをヨハネスさんから提案され、次のようにきめました。

  • Japanese Title“海の『守り人』論”:“Umi-no-Moribito-Ron” 
  • English Title “The Theory on Marine Stewardship”,published in 1996,by Mana-shuppan-kikaku,Japan:ISBN4-944114-02-8 C0062

              **

 たしかに、「プロテクター」では、海上保安庁の「海守」という感じで、海の『守り人』論の254ページでショート・ケビンさんも話している「Stewardship」(スチュワードシップ:直訳すれば「管理」ですが森番のような森や環境を管理する人・番人という意味から海の番人というようにも使えそうですね)を採用することにしました。

             ***

 ところで、2006年に発行した「ローカルルールの研究―海の『守り人』論2」の書名英語表記についてもヨハネスさんにおねがいしたら、ローカルルールについては「institutions」(辞書:制度・慣例)を使い、「ローカル・インスティチューション」が適当だろうとして、次のようにきめました。

「ローカルルールの研究―海の『守り人』論2」の英語表記:

Studies on local institutions in coastal fisheries: The Theory on Marine Stewardship Revisited

 上記を、以後、海の『守り人』論及び、 「海の守り人」および「ローカルルールの研究」および「ローカルルール」の英語名とします。英語音痴にはとても選べない英語の表記で、海の『守り人』論パート2についても「Revisited」とするなど、なかなかかっこいいタイトルになりました。「The」か「A」はどっちが適切かきめかねるということです。

BY MANA(なかじまみつる)

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