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冬だけど「氷」のドラマ再々放送!!―なぜか「篤姫」と接近

NHK「タイムスクープハンター」「お氷様はかくして運ばれた」が正月の深夜またまた放映されていた

年があけ、4日になって本ブログのアクセス数が200を越え、それが数日続いた。なぜか、アクセスの解析機能で「タイムスーくプハンター」の記事へのアクセスだった。

3日の番組の深夜(放送は4日)2時から、「タイムスクープハンター」が再放送されていたのだ。再放送の二度目だから再々放送ということになる。「加賀さまのお氷」運搬の話だが、タイムスリップして取材に出かける未来記者(タイムスクープハンター)の役が、人気上昇中の「要潤」(かなめじゅん)現象ということもあるけれど、若い人たちの歴史事件を扱う場合でも、どういう映像なら受け入れられるという「つぼ」を押さえた脚本と演出に配役だったからこその反響につながり、3度目の放送になったのであろう。

「氷の文化史」という、氷と人のふれあいの歴史にスポットをあてて記事を書いてきたものとして、これだけの注目をあつめたのは驚きであるとともに、正直とてもうれしい。

「篤姫」原作「天璋院篤姫」に描かれた「加賀さまの献上氷」

 おなじ「氷」つながりで、この正月にNHK大河どらま「篤姫」原作の「天璋院篤姫」宮尾登美子(講談社文庫、上・下)を読んだが、その下巻「和宮降嫁」の章に、江戸城多くの行事として、旧暦6月1日の「加賀さまの氷献上」が載っていた。

Tensyouinatsuhimebunkohyousi  それだけなのだが、それはそれとして原作には、西郷隆盛や大久保利通や小松帯刀らの、テレビでは篤姫との愛情も含めた交友関係が細やかに描かれていた薩摩の人物にほとんどふれられていないことにびっくりした。男の表現で言えば幕末の「傑物」といえるであろう「篤姫」を発掘し、限られた史実をもとに、宮尾流決めの細かな心のひだまで映し出す描写力で記す、純「歴史小説」に仕立ててあることに、うなづきながら一気に上下2冊読んでしまった。篤姫の家定との結婚が、水戸派とくんだ斉彬の徳川政権転覆、政権奪取という遠大な野望に基づくものであったことや、その延長線上に慶喜の行動が斉彬死後も続いていたこと、そして、篤姫が慶喜を一度接見したときに見抜いた邪悪な心の一面が、やがて家定、家茂の死は慶喜一派の薬殺によるものという断定を下していく。和宮は、本人というよりも付き人たちの行動として、その目論見に加担していたことを見抜いていた篤姫と和宮の確執は、テレビではまったく描かれていなかった。このあたりが、原作と視聴率をねらったテレビの脚色付き演出のちがいなのかと、思った。

ただし、正直なところテレビの「篤姫」も、「チャングム」と同様の関心と感動をしたし、また、原作「天璋院篤姫」もとてもよかった。

 その和宮降嫁の翌年、大奥の6月1日の恒例行事「」加州候よりの献上氷」をめぐって、篤姫付きの女中と、和宮付きの女中との大騒動につながっていく。そのくだりを引用しておく。

 それは六月一日、恒例の加州家より献上の氷室の荷をお広座敷で解くときに起った。
 氷とはいっても、これは雪の塊といったほうよく、加州家ではこの日まで冬の雪を土中に埋めて保存するため、土や塵芥が混って汚なくなっており、例年、きれいなところをほんの少し選って皿に入れ、天璋院にごらんに入れただけでさげ渡されることになっている。
 加賀の国からはるばると江戸まで、中の氷室が解けぬように運ぶのは大げさな荷造りであって、毎年、お広座敷は大へんな騒ぎでこの荷を解くのであった。

 当日は御三の間以下の女中たちが総出であたることになっており、京方、江戸方入り乱れて薦包みをほどいている最中、宮さま付きの女中きみが、天璋院付きのさよに褄を踏まれ、よろけて尻餅をついた。
 口々 にしゃべり合いながらの作業で、さよはそれに気づかず手を動かしているのを、立ち上ったきみは矢庭にその帯を掴んだ。その拍子に帯がゆるんでいたのかたちまち解け、おどろななりのさよを引き据えて、
「ひとを突き飛ばして、ようも平気でおいやす」
 ときみは叫び、それでやめればよいものを、
「こうやよって、江戸方は作法知らずというてるのえ」
 と続け、帯から手を離した拍子に体を振ったきみに煽られ、今度はさよが畳の上に転がってしまった。
 こうなると江戸方が黙っているわけはなく、さよが帯をひきずったまま怒りの形相で詰め寄るのへ応援団は続々増え、京方はまたきみの味方をして一団となり、氷室の薦包みを中にして両者にらみあう形となった。
 このなかで、お広座敷の頭をやっているさきが江戸方をかぼって京方に向い、

「京方の皆さんは少々お考え違いをなすっておいで遊ばすのと違いますか。そもそもこの氷室は、若御台さまにいちばん先に献上すべく、我々がお手伝いしてさし上げているのですぞ。お礼をいうてもらうのが当り前でありこそすれ、帯を取って引き据えられるようなむごい仕打ちを受ける覚えは当方にはございませぬ。
場合によっては捨ておきませぬぞ」
 と声を荒らげるのへ、きみは衣紋をつくろいながら立ち向い

…以下略(宮尾登美子著『天璋院篤姫』下巻「降嫁」164p~166pより)

新年早々、「タイムスクープハンター」の再々放映と「天璋院篤姫」の小説に記された、「加賀さまの献上氷」が遭遇した。真冬なのに、夏の氷の話題でした。

MANA・なかじまみつる

MANAしんぶん「氷の文化史」サイト目次:

http://www.manabook.jp/essay-icemanlibrary-index.htm

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