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オーストラリア先住民との出会い(4)

オーストラリア先住民との出会い

――生活習慣病による短命を惹起させたおおもとにあるもの

中村禮子(なかむられいこ)(2009年4月投稿)

白豪主義による白人優位の差別政策が残した大きな爪あと

Reikoblog06rengaart02  先住民はいわゆる生活習慣病にかかって、非常に短命になっているのである。とりわけ世界の先住民族の中で、最もその弊害が大きいのがオーストラリア先住民の人たちである。

 統計データによると、先住民の平均寿命は男56.9歳(オーストラリアの平均72.2歳)、女61.7歳(同81.1歳)。

 ちなみに、世界25ヵ国61地域の人々1万6000人の健康調査を、20年以上もされている武庫川女子大学国際健康研究所、所長の家森幸男教授のオーストラリア先住民の検診結果によると、40代では70%弱が糖尿病、高血圧症、50代前半では90%が、50代後半では100%が糖尿病か高血圧症のいずれかの症状を持っているということである。

 これは18世紀後半から200年以上にわたって続けられた、入植者による迫害の歴史の結果による食生活の激変が原因であり、白豪主義による白人優位の差別政策が残した大きな爪あとであると結ばれている。

倹約遺伝子って?―体質に合った伝統食がいかに大切か

 もともと先住民には、倹約遺伝子といわれる、食料入手が困難で過酷な条件の中でも生き抜いてこられる遺伝子が備わっている。

 これは人類がいかに少ない食料を効率よくエネルギーに換えるかという形で、長い年月の中で適応進化した結果である。それに適した食料で生きてきた人々が、高エネルギーの食事を豊かな食事と思い込み、その害にさらされ時、健康がどう害されていくかを、現在のオーストラリア先住民の健康状態が端的に表していると家森教授は述べている。

 ついでながら、日本においても同様な状況が展開されていることも事実である。いかに体質に合った伝統食が大切かを知らされる。

パブでの出会いもほんとうは〝怖々〟だったのだ

 ファミリーイベントの会場を後にし、街をぶらぶらして先住民の溜まり場になっているパブに行った。

 午後3時頃だったが、あちこちのテーブルを囲んで、もちろんパブでは立ったまま飲むのだが、人の輪ができて楽しげだった。皆、ビール腹をつきだして、ビンやグラスを片手に笑み満面。その途端、アフリカの黒人と黄色人種の私たちが入っていくと、奇妙な取り合わせだと写ったのだろう、皆の奇異な視線を浴びながら、カウンターでビールを買って仲間になった。

Reikoblog05joansan  あっちのテーブルの人、こっちのテーブルの人と目が会うたびに、にこやかに笑顔でハローと挨拶をし、こちらも必死での努力だったが、本当は怖々だったのだ。

 ビールが半分ほど減ったところで、せっかくだから記念写真を撮ろうということになり、それでもと、カウンターのバーテンダーに、写真をとっても良いかどうかを聞いたら、もちろんと、笑顔で答えてくれて、胸をなで下ろした。

 斜め前のテーブルで、仲間と楽しく語り合っていたトレス海峡諸島の先住民である女性がビールのボトルを持って、私のところに近寄ってきたので、すかさず私は「日本からやってきたレイコです、初めまして」と親しげに話しかけた。

 あちらも気をよくしてくれたのか、「私はジョアン、よろしく」と会話が続き嬉しくなった。「一緒に写真に入らない」との私の呼びかけに、オブコースとビールの力もあったのだろう、嬉しくて一緒に記念写真を撮った(写真下・ジョアンさん右端)。

35年オーストラリアを行き来したが、今回初めて〝民族〟の真実をしった

 先住民には二つの系統があり、その一つはオーストラリア先住民(Aboriginal Australian)で、ネグロイド(類黒色人種群)系の特徴である幅の広い大きな口と鼻を持ち、同時にコーカソイド(インドヨーロッパ系)系の特徴であるウエーブのかかった波状毛、毛深い顔や体、太い眉をしている。大陸に住んでいた彼らはオーストラロイド(類オーストラリア人種群)と呼ばれ、独立した人種集団と考えられている。

 もう一方はトレス海峡諸島先住民(Torres Strait Island Indigenous)でトレス海峡諸島に住んでいて、肌の色が濃く、背が低く、髪が縮れ、ネグロイド系の特長を備えるメラネシア(南太平洋の経度180度以西の諸島)系の先住民である。そして、現在では、彼らの民族旗が政府により、オーストラリアの国の旗としても認められている。

 私はオーストラリアに過去35年間頻繁に行き来しており、その昔、シドニーの中高等学校の先生をしていた時に、修学旅行でこの大陸を1万キロ、延べ3週間かかったキャンプ旅行の引率をしたことがある。

 その際に、実はキリスト教団体がオーストラリア先住民を集めて、彼らの自立支援のための援助活動をしているミッショナリー(布教活動所)に、生徒を連れて尋ねたことがあった。その当時は、学校でも先住民とはアボリジニであるという教育がなされていた。

 時代が変り、今回、いろいろ勉強をして下調べをしたために、このトレス海峡諸島民といわれる先住民の存在を初めて知ったのである。 (5)につづく

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