漁業権・入会権・里海関連英語表記について

必要にせまられて、漁業法・漁業権、入会権、里海関連の英語表記を整理してみました。メモとして記しておきます。

このほうが適切というご意見があれば、コメントにぜひ書き込んでいただければうれしく思います。

出典……(1)The Fisyeries Law,The Overseas Fisheries Cooperation Foundation,1993/(2)M.A. McKean, "Management of Traditional Common Lands (iraichi) in Japan", in Proceedings of the Conference on Common Property Resource Management (1989), pp. 533-589 (A revised and updated version appears in Making the Commons Work, 63-98.) .*Making the Commons Work: Theory, Practice, and Policy, edited by Daniel Bromley, David Feeny, Margaret A. McKean, Pauline Peters, Jere Gilles, Ronald Oakerson, C. Ford Range, and James Thomson (1992), San Francisco: Institute of
Contemporary Studies .

漁業法(ぎょぎょうほう):The Fisheries Law:Law No.267 of 1949:(1)

漁業権(ぎょぎょうけん):fishing right:(1)

  定置漁業権(ていちぎょぎょうけん):set-net fishing right

  区画漁業権(くかくぎょぎょうけん):demarcated fishing right

  共同漁業権(きょうどうぎょぎょうけん):common fishing right

  入漁権(にゅうぎょけん):common-of-piscary right

入会権(いりあいけん):common right:(2)

  入会(いりあい):common

  入会地(いりあいち):common land

以降補足していきます。

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国際漁業研究会2009年シンポジウムに参加してきました

2009年度国際漁業研究会シンポジウムの内容

テーマ:これからの日本の漁業を考える

日  時:2009年11月14日(土)13:30-17:00
場  所:大日本水産会大会議室(三会堂ビル8階)
趣  旨:日本の漁業を取り巻く国際環境は制度面でも経済面でも環境面でも大きく変化している。一方、漁村は少子高齢化・過疎化に、漁船漁業は燃油高騰・後継者難に直面し、起死回生を迫られている。多面的機能が期待される漁業を中心とした「海の時代」の理想と現実の差はあまりに大きい。しかしながら、海の利用に対する日本の比較優位性は世界的な特徴でもあり、日本には、今、この特
徴を活かしきれるかどうかが問われている。そこで、漁業と深く係わる「資源」、「流通」、「漁業制度」、「環境問題」、「政策」、「消費」の専門家と「沿岸漁業」および「遠洋漁業」など漁業自身のこれからのあり方を考えている専門家を一同に会し、これからの日本の漁業を再考したい。

13:30-15:30 シンポジウム:これからの日本の漁業を考える

座  長  国際漁業研究会会長 松田 惠明・副会長 岡本 勝 
話題提供1「資源管理を巡る環境思想・法的概念の変遷」
   東北大学名誉教授 川崎 健氏
話題提供2「築地市場の魚価と取引の現状」
   時事通信社編集局水産部次長 川本 大吾氏
話題提供3「うつりゆくこそ里の海なれ―沿岸漁業と里海を考えるスタンス」 フリーライター・まな出版企画 中島 満氏
話題提供4「激化する国際資源獲得競争と日本型・遠洋漁業の限界
         -まぐろ漁業の視点からー」
   責任あるマグロ漁業推進機構専務理事 原田 雄一郎氏
話題提供5「マリン・エコラベル・ジャパン 前向きに持続的漁業を推進します」
   マリン・エコラベル・ジャパン事務局 
   大日本水産会事業部国際課長 西村 雅志氏
  話題提供6「漁業衰退要因の総点検と水産日本再生のシナリオ」
   マリン・インパクト21 理事長 小網 汪世氏
話題提供7「魚食普及でもグルメでもなく“海のくに・日本”の意義を伝えることが第一」
   ウーマンス・フォー-ラム魚代表 白石 ユリ子女史

15:30-15:45 休憩
15:45-17:00 総合討論 これからの日本の漁業を考える
17:00 閉会の辞

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宮古島DS訴訟の決着―沖縄からの二つのニュースに注目

「美ら海協力金」の仕組みに期待しよう

【「里海」ブログの再録】

先月のある日、二つの漁業権にからんだニュースが、沖縄から届きました。まず、第一が、宮古島周辺海域で10数年間も係争が続いていた、地元漁協・漁業者と、ダイビング事業者とのあいだのダイビングスポット設置とその利用にからむ問題が、決着をみた、というニュースでした。「里海」ブログの再録

もう一つは、西表島の網取湾というほとんど未開発で、手付かずの自然環境がのこされた海域に、真珠養殖会社が真珠養殖漁業権設定の手続きを県に対して行ったことに、懸念をいだいたハゼの魚類学研究者からの情報でした。

いずれも、大型の地域開発がからむわけでもなく、全国ネットの情報には全くのることもないので、よほどの沖縄通か、専門の研究者以外、東京や本土に住むかぎりは、まったく知ることなく過ぎ去ってしまう特殊な地域限定マメネタ扱いのように思われがちです。ところが、この背景を探ってみると、海の利用と管理を考える上で、現代もっともホットな最先端をいく課題を提供している情報であることがわかってきます。Miyakodschuraumikyouryokukin

まず、宮古島DS問題の決着について簡単にレポートしておきます。ことの発端は、1997年にさかのぼります。宮古島エリアでダイビング事業を展開していたダイビング業者に対して、地元漁協の一つである「伊良部町漁協」の組合長らが、ダイビングの全面禁止等の仮処分申し立てを地裁宮古支所に行ったこと、でした。もう、それから10数年、漁業者とダイビング事業者との間で、何度もの裁判が繰り返され泥沼化を呈してきた事件ですから、どのような解決をしたか、とても重要なテーマを提供してくれることになりました。

どのような解決をしたのかだけを、先に書いておきます。

昨年半ば、地元漁協の役員改選が行われ、関係漁協の組合長らリーダーが交代し、地元漁業者とダイバー事業者とのあいだでの前向きな話し合いが、ようやく行われることになったのです。そうして、昨年末、約1年間をかけて、宮古地区三漁協と観光ダイビング事業者団体とで構成される「宮古地区海面利用協議会」で基本合意ができました。そして、今年の2月16日に、「宮古地域における海面の調和的利用に関する指針」(ガイドライン)が締結されたのです。このガイドラインにもとづき、「宮古地区海面利用連絡協議会」が設立され、愛称を「美(ちゅ)ら海連絡協議会」とし、「宮古地区における海面利用のありかた、海洋環境保全、観光ダイビング事業の振興、海洋資源保護培養等のために、海の利用者に対し《美ら海協力金》500円」(添付画像がその領収書にあたります)を負担してもらう「美ら海協力金」制度が、3月以降実施されることになりました。

以下に、ここまでに到る長い経過を触れておきます。私は、この宮古島DS訴訟については、それよりも数年前から問題化して、同じく訴訟になっていた、静岡県沼津市大瀬埼沖合いのDS裁判との関わりから、ずっと関心を持って取材を続けてきました。

大瀬埼DS裁判は、地元漁協が設置したダイビングスポットを巡り、一ダイバーが、漁協を相手取り、ダイビングをするために地元漁協に支払う「潜水利用料」(潜水券購入代金1回340円)の法的根拠と、違法に基づく徴収であるから、これまで支払ってきた料金の返還を求めて静岡地裁沼津支所に提訴した裁判(「大瀬埼DS裁判」)です。

漁業権の法律的な性格を裁判所が判断をすることになるなど、潜水利用料という、海を利用するダイバーが支払う利用料金について争われた裁判は、これまでほとんど判例のありませんでした。それだけに、この裁判の審議過程、判決から、新しい海の利用をめぐる課題が見えてくる訴訟事件として注目してきました。このテーマに関心を寄せていた法律の専門家や研究者、漁業関係者らのあいだで、勉強会を行い、その結果を、2006年に『ローカルルールの研究―ダイビングスポット裁判検証から』(海の『守り人』論パート2)として1冊の本にまとめてあります。詳細を興味がある方は、それをお読みください。

簡潔に、この二つの裁判の特徴と、その判決の内容(結論のみ)だけを示しておきます。

A)大瀬埼DS裁判:1993年提訴~地裁・高裁・最高裁・高裁差し戻し審の4度の判決で、2000年漁協側勝訴で、2001年判決確定。:確定判決の骨子は「漁協が設置したDSを利用する際に漁協に支払う潜水利用料は、漁業権侵害の対価としての性格を持つとも考えられ合法であり、原告のダイビング愛好者の請求を棄却。」漁協勝訴、ダイバー敗訴。

B)宮古島DS訴訟:1997年伊良部町漁協がダイビング事業者らに対し、「漁業権」水域内でのダイビングを妨害排除請求権にもとづきダイビングスポットの全面禁止を求めたもので、地裁、高裁とも、漁協側敗訴、ダイバー側勝訴。最高裁で2002年漁協側の控訴棄却し、判決確定。しかし、以後、損害賠償に関する民事訴訟が継続。

大瀬埼DS事件では、漁協が勝ち、ダイバー側が負け、宮古島DS裁判では漁協が負け、ダイバーが勝つという、ごく単純に一勝一敗の見かけの判断をしがちですが、そうではありません。この二つの裁判は、同じように漁業者とダイバーの対立があり、「漁業権」の性格について判断を求めている、という図式から成り立っているように見えますが、実は、根本的に、もともと、それぞれ海域における海の利用ルール実態が異なっていたのです。

つまり、こうです。

A)大瀬埼DS設置海域:地元漁業者と漁協と、ダイビング業者とダイバーとの間に、地域自治体も介して、ながい話し合いの末に、それぞれ関係者の合意に基づきDS利用水域と利用料支払いの地域ルールが作られ、円滑に機能していた。→ダイバーが安心して利用できる水域になっていた。→海域の利用と管理について安定性の存在。

B)宮古島DS係争海域:地元漁協とダイビング事業者との間に双方の話し合いによって合意した地域ルールができていなかった。→漁業者のリーダーによる一方的な原則ダイバー排除の考え方と、漁業者主導による利用料の設定などの実態がある海域であった。→つまり、ダイバー(一般的な海のレジャー利用者)にとって、安心して利用できる水域ではなかった。→海域の利用と管理についての安定性の欠如。

違法性のない海の利用について考える限りにおいては、地域で合意して安定的に機能しているルールの存在の可否が、一方で「漁協側勝訴」、一方で「漁協側敗訴」の裁判官の判決が導かれたという背景が存在しているのではないかという仮説に基づく「実態」に着目しようと考えたのです。この、安定した地域の合意に基づいて形成されたルールを「ローカルルール」と呼ぼう、という提案が、前述した「ローカルルールの研究」の導き出した結論の一つででした。

そして、宮古島の10数年もの永い係争の歴史が、昨年6月の地元漁協のリーダーの交代によって、地元漁業者とダイバー事業者とのあいだでの前向きな話し合いの場作りがようやく出来上がり、昨年末、約1年間かけて、宮古地区三漁協と慣行ダイビング事業者団体とで構成される「宮古地区海面利用協議会」で基本合意ができ、今年になって、2月16日に、「宮古地域における海面の調和的利用に関する指針」(ガイドライン)が締結されたのです。

このガイドラインにもとづき、「宮古地区海面利用連絡協議会」が設立され、愛称を「美らうみ連絡協議会」とし、「宮古地区における海面利用のありかた、海洋環境保全、観光ダイビング事業の振興、海洋資源保護培養等のために、海の利用者に対し《美ら海協力金》500円」を負担してもらう「美ら海協力金」制度が、3月以降実施されることになりました。

地先の海の利用が、安定的に、そして安全に実施されるということの前提には、前述したように、地域の関係者どうしの合意に基づく自主的に創出された「ローカルルール」の存在が前提になると書きましたが、宮古島の海にも、こうして、また、一つ。、宮古島方式による「美ら海協力金」制度という「ローカルルール」が誕生し、これから、育っていくこととなったのです。

詳細な内容は、別信にてまた書くことにします。次に、西表島網取湾でおきた真珠養殖漁業権設置の問題をレポートしましょう。(続く)

By MANA:なかじまみつる

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ローカルルールということば

水産行政のことばとして「ローカルルール」が使われ始めました

「ローカルルールの研究」を発行して3年、本は売れなかったけれど、「ローカルルール」ということばが、最近になって地方行政や、制度における地域ルールの設定という位置づけで、現実の行政施策の中でも使われるようになってきました。

検索サイトからいくつか整理してみてみました。

(1)第7期第1回北海道海面利用協議会議事録:平成19年10月19日:
「本日の海面利用協議会ですが、漁業と海洋性レクリエーションとの共存、調和を図るため、平成6年7月に設置され、今期で第7期目を迎えることとなりました。…中略…さて、本道周辺の海面利用の状況ですが、遊漁船業が知事の登録制となり、安全面の規定が厳しくなったものの、プレジャーボートにつきましては、技術の著しい伸展、さらに水上オートバイやミニボートの普及により、ますますその活動が活発化し、新たな問題も生じてきているところです。
 一方で、遊漁団体の皆様が中心となって、釣り場や漁港の清掃、ルールとマナーの普及啓発などの取組みを実施して頂き、一歩一歩ではありますが前進していると感じております。
 遊漁を通じた都市と地方の交流促進は、地域の振興を図る上で非常に大きなテーマであると考えており、道としましても、幅広い道民の皆さんの御意見を伺いながら、現在策定作業を進めている「水産業・漁村振興条例」に基づく第2期の推進計画において、施策の展開方向としてお示ししているところです。
 そういった状況の中、今年は大変残念な事故が発生しましたが、先月、ウトロで漁船と遊漁船の衝突事故が起き尊い人命が失われたことは非常に残念なことでございます。」(O局長発言)
「先ほど、新たなローカルルール策定の気運があるのかとのお話がありましたが、我々ウトロ地区においても、様々な問題について行政ともいろいろと協議をする中で、法的な規制ができないのであればローカルルールをということで進んでおります。/この度のウトロの事故についても、皆様にご心配をおかけして大変申し訳なく思っておりますが、ウトロ地区では、漁船と遊漁船とプレジャーボートが一斉に出港していくという一般的にはあり得ない状態で、常に事故に遭う危険を伴っているというのが実態でした。
 また、漁船にはレーダーがついておりますが、小さいプレジャーボート等はレーダーではなかなか察知できず危険だという苦情もあり、何とか対応して頂ければと思います。/ローカルルールを作るためには、当事者の気持ちが一緒になり気運が高まっていくことが重要であり、今回の事故を教訓に委員の皆様からもアドバイスを頂きながら、今後、ローカルルールの策定に向けて取り組んでいきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。」(N委員発言より)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/NR/rdonlyres/C409513A-59D6-4E06-92B6-47292CA4D464/0/giji71.doc

(2)平成20年3月31日付け19水漁第3587号
農林水産事務次官依命通知「漁業経営安定対策事業実施要領」:[地域における事業の普及・推進の方針、事業の加入推進
及び対象者要件の確認、経営診断、経営指導及びローカルルールの設定等を行う。]
http://www.jfa.maff.go.jp/j/hoken/pdf/keieiantei/youryou.pdf

(3)東京都産業労働局農林水産部ホームページ―都民のオアシス作り:「海で楽しむ皆さんへ」:
地元ルール(ローカルルール)
 島によっては、地元の海面利用協議会や町村、漁業協同組合や遊漁船団体が定めたローカルルールがあります。/きれいな海と豊かな漁場・磯辺の環境を守り、漁業者との相互理解を図るためにも、地元ルールを守って釣りを楽しんでいただくようご協力をお願いします。
【主なローカルルール】:地域(クリックすると詳細がご覧になれます):主な内容:
○磯辺クリーンアップルール:(伊豆諸島・小笠原):ゴミは海に捨てずに持ち帰る/コマセの使用を控える/お互いにマナーを守り楽しく海を利用する
○三宅島自主ルール:(三宅島)ゴミは海に捨てずに持ち帰る/コマセの使用を控える/お互いにマナーを守り楽しく海を利用する/イシダイ、イシガキダイは全長40cm以下はリリース/イシダイ、イシガキダイの持ち帰りは、1人2尾まで/立入禁止区域での釣りは厳禁
○青ヶ島自主ルール:(青ヶ島):イシダイ、イシガキダイは全長40cm以下はリリース
 このほかにも、遊漁に関するローカルルールが設定されている島があります。/上記も含め、ローカルルールの詳細については、東京都水産課、各支庁、各町村水産担当までお問いあわせください。
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/norin/suisan/recreation/sea/rules/index.html

(4)その1「積丹カヤックス野塚通信―シーカヤックガイドの積丹半島原野生活」:シーカヤッカーはウニを採ってはいけないのだ:(コメントより)わたしにできるのはシーカヤッカーとその周囲に働きかけることだけですよ~。伝える側(主に道や町の水産課かな)に足りないのは、難解な漁業法を解きほぐして、解りやすく伝えようとする努力です。密漁禁止の看板だけではどうにもなりません。一方の観光客にはローカルルールを確認して欲しいですね。いわゆる自己責任というヤツです。ただ、日本の文化は「自己責任」ではなく、「旅の恥はかき捨て」。観光客に伝わるには時間がかかるでしょう(その点、シーカヤッカーは「自己責任」に敏感に反応する傾向があるので、楽かもしれません)。大切なのは、怒らず、あきらめず、真摯に語りかけ続けること・・かな。そのためにも積丹町にはさっさとホームページを立ち上げて欲しいものです。実はこれが一番の難関だったりしますが・・。
http://shakotankayaks.blog89.fc2.com/blog-entry-11.html

(4)その2(その1に紹介されていた推奨記事:とてもわかりやすく、的確にまとめられています:MANAより感謝!)「潮待小屋」サイト:漁業権問題集中講座:はじめに/1.「漁業権」の意味…①漁業権とは何か。/2.ルール違反行為の類型と遊漁者が注意すべきこと…②無免許・無許可の漁業の操業。③漁具・漁法等違反。④漁業権の侵害(その1)⑤漁業権の侵害(その2)⑥水産物は誰のものか。/3.適法に遊漁を楽しむために…⑦ところかわれば。⑧HOW TO ポイント探し/あとがき
http://diary.jp.aol.com/g6csap/557.html

地方自治関係については、後ほど整理しましょう。とりあえずはここまでにしておきます。

MANA:なかじまみつる

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里としての海を考えるシンポジウム

全漁連主催「里としての海を考えるシンポジウム」が開かれました

2008年1月19日「里としての海について考えるシンポジウム」:13:00~16:00:虎ノ門パストラル・新館5Fミモザ:主催:全国漁業協同組合連合会/共催:海と魚と食を考える会

[季刊里海]通信記事

(1)「里としての海を考えるシンポジウム」が開催されます―漁業者と市民との意見交換を期待します

http://satoumi.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_579d.html

(2)刺激的だった内山節さんの基調講演―「里としての海を考えるシンポジウム」が開かれました

http://satoumi.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_9c07.html

MANAによるテープ起し原稿(構成原稿:事務局に提出済み)

(1)主催者・来賓開会挨拶(原稿その1):「080119satoumi-sympo01.pdf」をダウンロード

(2)基調講演『里海へのメッセージ』講師:内山節さん(うちやまたかし:哲学者・立教大学大学院教授):(原稿その2):「080119satoumi-sympo02.pdf」をダウンロード

(3)パネルディスカッション:「里海から、里海へ―自然・ひと・協同を考える」

〇パネリスト
松田   治(広島大学 名誉教授)
加瀬 和俊(東京大学社会科学研究所 教授)
金萬 智男(NPO法人 盤州里海の会 理事長)
足利由紀子(NPO法人 水辺に遊ぶ会 理事長)
乾  政秀(株式会社水土舎 代表取締役)
○コーディネーター 市村隆紀(JF全漁連 漁政・国際部長)

原稿(その3):「080119satoumi-sympo03.pdf」をダウンロード

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二水会勉強会

2007年11月28日PM7時~:早稲田大学池先生話題提供(大瀬埼DS裁判と海の入会権と入会集団):伊東市漁協と富戸支所/……

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二水会勉強会

2007年9月12日PM7時~:キーワード:海洋基本法制定:漁業権ヒアリング/長浜町漁協の補償金/祝島共有漁業権/社員権と総有説……

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二水会勉強会

2007年8月22日PM7:00~:キーワード:漁業権制度と農地改革との比較/地区部会制度/大分県の大型合併/広域管理と地域管理/地代的性格の再評価漁業権行使料/入漁料制度/マグロ養殖と地域の合意……

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あるダイバーショップサイトの意見に感銘を受けました

海は誰のものか?……「地先」の海と「庭先」の公道

Daiverosezaki_1  「漁業権」と「地先権」というキーワードの検索によって、「ブルーアース21小倉」というスキューバダイビングプロショップのスタッフのかたがたが書いているブログに「海はだれのものだろう?」という意見が載っている文章を読みました。

 とてもわかりやすく、ダイビングのプロとしての経験豊富な方なんだなあと、その整理の仕方に、私も勉強になりました。

核心部分だけ引用させていただきました。(添付写真は、静岡県沼津市大瀬崎のダイビングスポットに向かう2人のダイバー。撮影中島)

「Aというダイビング事業者は「日本の海で潜るんだから、航路等ダイビング禁止区域以外はダイビングすることに問題はないし漁協や地元の許可など不要」と考えていたとします。
 Bという地元の方(主に漁師)は「先祖から守ってきた地先の海なので、地先権があるので地元の許可を取ってから潜るべき」と考えているとします。
 ※地先権とは
   江戸時代以来の1村専用漁場の慣習から来た考え方です。
   この考え方により現在の共同漁業権が発生しています。
   よって、C漁業共同組合の共同漁業権内の海域でD漁業共同組合の組合員は漁業操業できません。
   また当然、D漁業共同組合の共同漁業権内の海域でC漁業共同組合の組合員は漁業操業できません。
 AとBの考え方は相反する考え方になります。

 以下は私の考え方になります。
 では、どちらが正しいかと考えるとどちらも正しいと個人的には思っています。
 Aの考え方の通り、日本の海なので、航路等ダイビング禁止区域以外はダイビング実施することには基本的には問題はないと思います。実際、裁判でも漁業権は共同漁業権内での排他的漁業操業を認めているのであって、海域での海面占有権を有するものではないという判例が出ています。
 では、だからといって海面を利用する他者(例えば漁師や釣り人や船舶等)を無視してダイビングを実施すれば必ずトラブルや事故が起こります。あくまで、漁業権は共同漁業権内での排他的漁業操業を認めているのであって、海域での海面占有権を有するものではないと言ってますので、ダイバー・漁師・釣り人・船舶など皆が個々の主張しルールなき無法地帯に海面&海中をしてしまえば大変なことになります。
 よって、Bという考え方も考えておく必要があるのです。
 地元の綺麗な海に行って潜らせて頂くという謙虚な考え方もやはり必要なはずです。海岸やトイレ清掃等は地元の方々が日々あるいは定期的に行っている場合も多々あります。そのことを訪れるダイバーは忘れてはいけないはずです。
 もし、自分の自宅の前の公道で定期的に訪れて、ぺちゃくちゃしゃべって多少なりとも汚して帰ったとしたら、気分はよくないはずです。ですから、AもBも考え方は必要なのです。訪れるダイバーや地元の方や他の海面利用する方々との協調やルール作りは必要なはずなのです。
 しかし、これは主義主張が各々違いますからだれも率先して調整を図ろうとはしたがりませんし、新しいダイビングポイントの開拓にはものすごい時間と労力がかかります。
 私も約3年前から北九州から日帰り圏内で行ける北風が吹いても強いダイビングポイントを大分県内で開拓しようと何度となく地元関係機関や関係者に足を運びました。
 最初は相手にもされない状況でしたが、私の考えを伝えひとりまたひとり話を聞いていただくようになりました。
 大分県内のその地域では昨年より、ダイビングを開始し最初は反対の方も多くいましたが(今でも反対の方はいらっしゃると思います)、地元との共存共栄と大切にしている地先の海を潜らせていただく謙虚な考え方(具体的に言えば、買い物や食事は地元で行い、定期的に海岸・海中・トイレ清掃を行う等)により共存共栄できるようになってきました。」

 そのとおりなのです。法律で説得しようという考えでは、基本的に海という「だれのものでもない」自然領域の利用の問題は、解決が難しいのです。この文章をまとめられた筆者の「takaki」さんの、おっしゃるとおり、海という場所を「自分の自宅の前の公道で定期的に訪れて、ぺちゃくちゃしゃべって多少なりとも汚して帰ったとしたら、気分はよくないはずです。」という出来事に置き換えてみればよくわかります。

 本来の「地先」という考え方は、法律以前に、人々の暮らしの私的領域の境界を超えた「庭先」とか「裏路地」とか、そういう公共域の利用に置き換えてみればよくわかりますね。

 自宅の前の道路のような公共域だけれど、そのエリアをそこに住んでいる住人が掃除をしたり、草むしりをしたり、犬のウンチを取り払ったり(マナー違反の後始末をするのは胸くそは悪いけれど)しなければ、日々の暮らしを気持ちよくすごせないという「気持ち」が前提の行為なのです。

 海も同じなのだと思います。地先の浜や海は、漁業の利用のためのゾーンという以前に、そこに長く住んできた住民にとっての庭先の気持ちがまずあるのだとおもいます。つまり、住民の集まりが、集落や、村や町になるのですが、あくまで、そこで暮らしやすい条件を整えるために、庭先の公的エリアは、人任せではなく、まず自分でできることは管理しよう、ということです。

その住民の住む地域ごとに、個人のルールと、地域のみんなのルールとが、長年かけて庭先や地先の海の地域のルールを築き上げてきた、その蓄積の結果が、法律と同じような効力を持ったり、ある部分のルールは、法律として規定をされることになったものということなのではないでしょうか。

By 中島満:MANA

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水産基本法と海洋基本法

「人間中心主義」か「生態系中心主義」かの視点

 [季刊里海]通信のブログのほうで、新年冒頭メモで書いた、「今、なぜ海洋基本法なのか?」へのアクセスすが1日100件ぐらいに増えています。けっこう関心あるんだなあと言う印象ですが、ぼくがPCにファイルしてある、ネット公開資料のストックの中に、おもしろい国会審議上で繰り広げられた国会議員の意見交換があるので、引用しておきましょう。

 この記述は、第151回国会の農林水産委員会議事録「第15号―2001年・平成13年5月29日」で公開されているものですが、海の保全を考える時に、「人間中心主義」か「生物多様性を柱にした生態系中心主義」かの調整というテーマをも含めて発言しているなど、現在の一般的な人々の海を考えようとする時の視点を表現していておもしろいと思ったので載せてみました。これは、国益論ではない、もう一つの環境論からアプローチした海洋基本法を志向する考え方ともいえるでしょう。

○佐藤(謙)委員 農業には、開発から身を守る仕組みというのが、今いろいろと社会的にあるんですが、どうも漁業と森林・林業は、まさに開発にさらされてしまう。だからこそ、今、森は海の恋人、川はその仲人と言われた、気仙沼の畠山さんが始めたああした運動が全国的に展開をされる。
 そして、私も、水俣に行ったときに、水俣病で本当に人生を棒に振ってしまった、結婚もできずに、家族にも死なれ、たった一人で、今、小学生を相手に一生懸命水俣病のことを話をし、そして毎朝シラスの漁に出ている女性の方にお目にかかった。本当に、苦しみや怨念を超えて、仏様のようなすばらしい顔をされておられたんですが、その彼女も一言、不知火を昔のようなすばらしい海に戻したい、そのために、佐藤さん、一緒に山を大切にしましょう、山から始めたい、山にある、森林にあるフルボ酸鉄というものが結局植物プランクトンを育て、そして食物連鎖ですばらしい豊穣の海をつくっていくんだ、そうしたお話を聞けば聞くほど、今我々がどういう仕組みをつくっていくかというのは非常に大事なときなんだろうと思うんです。
 私は、一つ、化学物質の問題で、いろいろと法律をつくってきたりしましたけれども、その中で、ある市民運動の方がこういうことを言われたときに頭を殴られたような思いをしたんです。それは魚とPCBの問題で、我々人間はダイオキシンの九割が口から入る、そのうちの七割が日本の場合は魚からと言われて、魚の、食の安全性というのは非常に大切だということを我々は肝に銘じたわけです。魚の汚染というとすぐ、佐藤さん、あなたは、我々人間が食べて、そして体にどういう不都合があるか、健康を害するかということばかりを考える、それは本当の意味では人間中心主義だ、魚が侵されている、そういう現実に目を当てなければ、この問題は解決しないんだよと。魚に蓄積された化学物質を人間がどれだけとるかではなくて、魚がどれだけ蓄積してしまっているかというところから視点を当てなければいけないと。
 まさに、この水産基本法の一連の議論でどうもかみ合わないその議論の根本は、人間中心主義かあるいは生物多様性を柱とした生態系中心主義かの、そのミスマッチがそのままあらわれてきたような気がしてならないんです。保全は一切自然に手をつけない、そういう誤解からスタートする。調和というのはいい状態にするんだということで、調和の方がはるかに重い大きな概念だと言われてしまうと、そこで話はストップしてしまう。
 あくまでも、水産というのはやはり人間が主語、我々の事業が主語なんです。そうじゃなくて、我々も自然の中で生かされているという、先ほど、謙虚な気持ちを大臣は持っておられるわけですから、そうした大臣の謙虚な気持ちをそのまま法律や日本の社会の仕組みに、今の大臣だったらそれができる立場におありなんですから、やっていただきたいと思うんです。
 例えば、栽培養殖漁業の危機が言われています。一九九六年に、熊本県の天草でアコヤガイの被害が起きました。そうした被害を中心に、今養殖漁業の危機が言われています。ホルマリン漬けのトラフグですとかあるいはヒラメ、今、そうしたものが給餌養殖としてどんどん広がりを見せているわけですけれども、そうした安易な化学物質を使う漁業というものを、とる漁業からつくり育てる漁業という名のもとに野放しにしてしまって、都市生活者がそのままわかったと言ってくれる時代が来るのかというと、私は来ないというふうに考えています。
 そこで、この養殖漁業については、一九九九年、おととし、持続的養殖生産確保法というのができたわけですけれども、この持続的養殖生産確保法、この目的を見て僕は唖然としたんです。実は、私、このとき農水委員会に所属していなかったので。この目的の中で、「特定の養殖水産動植物の伝染性疾病のまん延の防止のための措置を講ずることにより、持続的な養殖生産の確保を図り、もって養殖業の発展と水産物の供給の安定に資することを目的とする。」つまり、事業者、供給者からの視点だけででき上がっている法律。
 これは、この法律の性格上やむを得ないかもしれないわけですけれども、消費者の食の安全、さらには化学物質に対して、水産業という一つの業の中でどういうふうにこれから扱っていくのかということは、私は、非常に大きなテーマなんだろう、それこそが、人間中心主義なのか、生物多様性を柱にした生態系中心主義なのかを大きく左右する、まさに岐路に立っているときだろうと思います。
 こうした問題についてどういうふうにお考えでしょうか。

○武部国務大臣 私は、人間も自然界の一員だ、こう思っておりまして、今先生の御指摘の点については、相対立する関係ではない、かように思っております。
 いずれにいたしましても、さまざまな人間活動による自然環境への負荷が非常に大きくなっているということは非常に大きな問題でありまして、先ほども申し上げましたように、自然の恵みに感謝するとともに、自然を恐れる謙虚な気持ちを持つことが、生産者も、食品加工業者も、また消費者も、これを原点として考えていかなければならない、かように思っております。
 有明の問題についても、私が先般、お互いまず自分の足元を見詰め直してくださいということを申し上げましたのも、私は、酸処理剤の使用の問題のビデオなども見ましたけれども、結果的には自分で自分の首を絞めるようなことにならないように、そういう意味では、何事も法で規制するとかそういうことではなくして、その原点を考えればきちっとした対応ができるのではないか、このように考えております。行政の面でも、そういう考えを前提に今後の対応を、しっかり適切なやり方をやっていかなきゃいけない、このように思っております。
 私は、そういう意味では、対立する関係ではないけれども、先生の御指摘というのは非常に重要な御指摘だ、かように受けとめております。

○佐藤(謙)委員 どうもありがとうございます。
 最後の質問になると思うんですけれども、今、感謝と謙虚という言葉を出していただきました。それに対して私は感謝を申し上げたいと思うんですが、海洋資源という言葉自身に、人間にとってのみ有用であるというそうした傲慢さ、そうした考え方から解放されなければいけないんじゃないかということを考えると、水産基本法を初めとした関係諸法はそれはそれとして、それをもう一つ大きく包括する、先日の参考人質疑で、東京水産大学の多屋先生でしたかお話がありました、海洋基本法がもう一つ大きい問題としてあるのではないかと。私は、海洋保全法というようなイメージでいいのではないかなというふうに思っているわけです。
 要は、海全体の生産力をどうふやすか。その中で、漁業者はどういう役割を演じ、国民はどういう役割を演じ、そしてその中でどれだけの分け前を我々がもらい、次の世代にバトンタッチをしていくのか。そうしたことを大所高所から議論をする時代というふうに私は申し上げましたけれども、まさに、海洋における生物多様性というのは、実は盛んに条約に加盟はしたのですけれども、今、そうした目的を施行する国内法というのがないのですね。今すがっている法律は何かというと、まさに水産庁が所管をしている漁場保全だとか、水産資源の保護というところしかない。やはりこの法律のさらに包括的に大きな海洋保全という問題を考えると、海洋保全法あるいは海洋基本法をつくるべきだと私は思います。
 そして大臣は、これは所管ではないのかもしれませんけれども、今までのこうした議論の中から、最後に前向きな御発言をいただければと期待を申し上げます。

○武部国務大臣 ここ数年ですよね。環境修復型の公共事業、そういう問題が提起されたり、人と自然との共生ということが大きなテーマになってきたというのも、これが具体的に国民レベルで関心が高まってきたというのは、私の認識ではここ数年ではないか、かように思います。これは、急速に高まっていくだろうと思います。
 そういう意味では、こういう議論というものをどんどん盛んにしていくというようなことが大前提であって、現時点においては、前向きな答弁がなかなかできないということでおしかりを受けるかもしれませんけれども、議論が成熟しているとは思わない。議論が緒についたと。これはやはりもっと、これは農林水産省の所管ではないかもしれませんけれども、それは私どもの所管ではありませんということではなくして、私どもの方からむしろ積極的に問題提起を掲げて、そして国民的なレベルで、今先生の御指摘のような議論を盛んに高めていく必要があるのではないか、そういうことを前提に、いずれ将来立法ということも俎上に上がってくるのかな、そういうような印象を私は持っている次第でございます。

○佐藤(謙)委員 武部大臣の誠実なお人柄に期待をして、質問を終わらせていただきます。

MANA(なかじまみつる)

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